Helsinki School of Economics

羽根田 一真さん Helsinki/フィンランド2006-2007 MBA在学生

プロフィール[インタビュー実施:Aug 2006]

羽根田 一真さん

日本HP株式会社(旧コンパック・コンピューター)にてeコマースマーケティングとしてeコマース部門の立ち上げから参加。ベリサイン株式会社にてセキュリティー認証、ファイザー株式会社にてクオリティ・マネジメント業務を経験後、起業の準備もかねて2006年よりロータリー財団国際親善奨学金生としてヘルシンキ・スクール・オブ・エコノミックスでMBAを取得中。

MBAでどのようなことを学んでいらっしゃいますか?

ここのMBAのプログラムは基本的に、

* 12 required core courses
* 7 elective courses
* 1-2 individual projects
をとる仕組みになっています。(参照;http://www.hse.fi/EN/education/mba/curricula/)

この夏の期間(2006年度)は特に、
”Information Technology Management”
”High-Technology Entrepreneurship”のクラスを中心に
クラスをとっています。

私の場合、IT関連のバックグラウンドがあり、
実際に欧州でおこっているIT事情を把握しようと思い
クラスで学んだことを実践的に使えるクラスを主にとっています。

たとえば、IPT(Information Technology Program)
という夏限定のコース(2006年は5月ー8月)があります。
ひとつのビジネスプロジェクトと3つのクラスが
パッケージになっているプログラムで、フィンランドの企業と
コラボレーションをとり、ビジネスプロジェクトを
しながら、必要なスキルをクラスで学ぶというプロジェクトなど
があります。

(参照;http://itp.hkkk.fi/)

私は、ITPには参加しなかったのですが、クラスを1つだけとってみました。
通常のMBAのクラスと違った雰囲気で、とっても勉強になりました。

ヨーロッパのMBAを選んだ理由は何ですか?
また、現在のコースはその目的をどのように満足させていると思いますか?今後の目標は?

私の場合は、
フィンランドに僕がきた理由は、2つあります。

ひとつは、ITの最先端の研究。

もうひとつはビジネスを国と民間が協力してビジネス&起業を
サポートしているフィンランドの事情を研究し、日本が学べる部分を伝え、
逆に日本のいいところもフィンランドに伝えていくため。

フィンランドにおけるIT技術にについて探ることとは、
生活の中でいかに効率よく、ITを活用されているのか探ることです。

フィンランドで有名な企業といえば”ノキア”。
すでにフローバル企業としても世界で活躍しております。
フィンランドにおける携帯電話の普及率は90%を
こえているともいわれています。

またこのIT・モバイル技術をもった企業もおかげもあり、
90年代初頭、フィンランドの経済はGDPが約10%も落ちこんでいた
破綻寸前の経済から、90年代後半における奇跡的な経済成長を
起こし、IT先進国として大きく跳躍した要素にも興味があります。

起業については、
フィンランドでは起業率が高く、欧州の中でも
上位にランクインされているのも大きな理由です。

これらの理由を満たすクラスがあるのかも
大学院選びの基準でした。

私の通っているMBAでは通常のクラスのほかに
”concentration”(集中講座)として

”Information Technology Management”
”High-Technology Entrepreneurship”
"International Finance"

を特化したクラスをとれるクラスもあり、
自分の研究に足りない部分を、授業を通し
実践的に学ぶ事ができます。
(参照;http://www.hse.fi/EN/education/mba/curricula/concentrations/)

教授の方々は、ヘルシンキ・スクール・オブ・エコノミックスの
教授よりも、ここのMBAがもつ世界のネットワークから
様々な教授が訪問し、教えているクラスがほとんどです。

USですと、Emory University,The University of North Carolina
欧州からですと、ESADE Business School、Warsaw School of Economics

などから訪問し、クラスで教えています。
(参照;http://www.hse.fi/EN/education/mba/faculty/)

クラスのサイズはとる授業にもよりますが20-30人小規模(フルタイム)
のためクラスワークなどが濃厚なので、MBAの能力で
重要な要素でもある”コミュニケーション能力”が
かなり試されます。

フィンランドのMBAは
世界のMBAランキングからすると
あまり有名でないかもしれません。

北欧では、Ph.Dなどの高学歴の方が多いため
有名なMBAを卒業、博士号をもっているかよりも
実際にどういう経験があるのか、どういうビジネス・プロジェクトを
してきたのかが重視されます。

そういった意味でも、ここのMBAで行う
ビジネス・プロジェクトは就職を有利にするためにも
重要な課題です。
(参照;http://www.hse.fi/EN/education/mba/curricula/elective/)

フィンランドでMBAを取得するメリットとして
北欧で生活できるのは大きなメリットだと僕はおもっています。

私の場合は、USの大学を卒業しているため、
欧州で勉強することで、こちらの人々のものの考え方、生活などに
接する機会があるのは大きな経験となっています。

フィンランドはEU加盟国でもあり、ユーロを導入していることもあり、
ユーロに関する為替・政治の動きにも敏感になります。

また新聞なども”ファイナンシャル・タイムズ”などを
中心に読むことが多いので、欧州やアジアのトピックに敏感になります。

以上のことからも、
北欧や欧州の生活からしか学べないことも多いです。

世界で起こっている大きな流れが
”US”中心から”多様化”にむかっている今だからこそ
欧州各国がもっている考え方を身体で理解することにも
大きな意味があるのではないでしょうか。

参考;
ザ・フィンランド・システム
―日本ビジネス再生の鍵は、フィンランド(世界競争力1位)にある
矢田 龍生
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4382055571/249-8045165-7812369?v=glance&n=465392

意外と高い欧州起業家率‐アメリカをしのぐ?
http://www.business-paradigm.com/venture/entrerate.html

マネー&リーガル@イー・ウーマン ワールドマネーリポート
http://green.ewoman.co.jp/2005_money/world/report_23.html

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山下 亜仁香(やました あにか)さん Helsinki/フィンランド2005-2006 在校生

[2006−2007ALC特別体験談より]

山下 亜仁香さん

ヨーロッパのビジネススクールを選んだ理由は?

1年でコースが修了するためキャリアの中断期間も、予算も定額で済むのが一番の理由でした。アメリカの大学院も考えたのですが、ローンを組んでまで留学することへのためらいがあり、結果的にはノーローンで安心して勉強に専念でき、治安もよく、教育のクオリティ、そのほかの生活環境の良さなども総合的に考えた結果、欧州のMBAを第一希望に選定しました。欧州のビジネススクールでも北欧に絞って考えたのは、高校時代に留学した経験があることも影響したかもしれないです。

授業はどうでしたか?大変だったことは?

こんなにきついと分かっていたら入学しなかった、と正直なところ、家族や友人に愚痴っていた時期も長かったです。どんなにきつくても2週間で1単位というコースを次々に休みなくこなしていかなければならなかったので、モチベーションを常に保ち続けるといったメンタルな面から、風邪を引かないなどの体調面も含めて、自分をどれだけ管理して時間的にタイトなスケジュールをこなしていくか、という自己管理の面が一番大変でした。特に、友人や家族からも距離的にはなれ、違う言語文化の中で生活するだけでもきついのに加え、クラスメートもグループワークなどで一緒に仕事をすると、成績を競いあう同僚・ライバルになってしまうケースもあったので、クラスの中での競争と、協力関係の維持など人間関係の面でも上手にやっていくことが要求され、鍛えられたように思います。

好きな教授や科目は?

企業の社会的責任という講座がテキサス大学からきた先生の指導の下であったのですが、これは受講者も10人程度と少なく、試験もない代わりに、毎日の授業で自分の価値観、人生観を問われる内容の濃密なディスカッションが毎日4時間続くというもので、本当にDemandingでした。日記もつける必要があり、ディスカッションが終わった後、学生寮で一人自分と向き合いながら、自分はこの問題(たとえば製薬会社がホームレスの人にお金を払って薬の臨床試験に協力を求めたケースなど)にマネージャーとして、企業人として、人間としてどう向き合うのだろう、など真剣に考えた経験は本当にすばらしいものでした。今後の人生の基盤になるようなものの考え方を身に着ける授業があったのはすばらしかったです。

他国からのMBA留学生の印象は? 上手く付き合うこつは?

クラスには主にフィンランド人の学生とドイツなど欧州出身の学生が多かったです。ドイツ人もフィンランド人も非常に勉強熱心でまじめなため、日本人としては付き合いやすく、仕事も一緒にしやすかったのでとてもよかったです。

パーティーなども頻繁にあり、授業のあとにのみに行ったり食事会をしたり、とても楽しい付き合いができたのでよかったです。学校の近くの学生アパートに住んでいたのですが、アパートにクラスメートの何名かも一緒に住んでおり、近所に同じ境遇の人間がいることがこんなに心身ともに助けになるとは思ってもおらず、勉強の面で判らないことがあるとき、体調が悪いとき、ホームシックになったときなどにお互いの部屋を行き来して助け合ったのは文化や国境、人種を越えて支えあいの精神のみがなせることだったと思います。

生活面で苦労されたことや、楽しかったことは?

フィンランドが非常に自然が豊かで静かな国だったのが勉強や生活の助けになりました。ヘルシンキの中心に住んでいたことも幸いして、学校の後に街中のカフェでお茶をしたり、週末はちょっとクラブに出かけて気分転換をしたり、日曜日の朝には映画や公衆サウナでリフレッシュをしたり、基本的に一人でいてもちょっとした幸せをみつけられる生活環境があったと思います。治安がよかったのも、一人暮らしの女性にとっては非常に幸いで、どんな時間に外を歩いても心配はゼロでした。医療の面でも病院施設が整っていたのには感動しました。外食をするのにもしゃれたレストランやおいしいご飯があるカフェなども充実しており、日本人学生にとってはとても住みやすい場所だと思います。ショッピングには隣国スウェーデンの首都ストックホルムに豪華客船ででかけたり、(非常に手ごろな価格で)ロンドンも飛行機で2時間なのでミュージカルや感激に週末にでかけることもありました。そういう意味では静かに勉強に集中できる環境と、遊びにける欧州都市が数時間のアクセスにあるというのは恵まれた学生環境ではないでしょうか。

MBA取得後のキャリアは?

目下就職活動中なのですが、日本には戻らず、海外で真に国際的に活躍できるキャリアを求めるようになったのが一番の大きな変化だったと思います。MBAを取得する前は、日本でテレビ局という花形の職場にいたとはいえ、ろくに自分の能力や強みも分からずにいたのですが、1年間のきついMBA時代を経て、自分の限界、逆に可能性もはっきりと見え、どんなキャリアを形成していけば心身ともに幸せになれるのか、かなり具体的なアイディアが沸き、それを元に戦略的な就職活動をしている最中です。いくつかのオファーもあったのですが、キャリアにとってどれだけプラスになるか、など戦略的な選択をしたいと考えています。 MBAが即就職のパスポートになる時代は過ぎたと思いますが、長い目で見て、MBA時代を経たほうがいいキャリア形成ができることは間違いないと思います。

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