Birmingham Business School

成田 浩之(なりた ひろゆき)さん Birmingham/英国2004-2005 MBA在校生

プロフィール[インタビュー実施:June 2005]

成田 浩之さん
千葉大学 工学部 卒業
ドイツ系ISO認証機関勤務
米国系自動車部品会社勤務
英国バーミンガム大学
経営大学院 在学(2004年-2005年)

バーミンガム大学のMBA (International Business-1 year course) について

本コースの開始は例年9月下旬からとなっております。
入学条件によっては夏のプレセッショナルコースを履修すること、又はトフル等のスコアを事前にクリアすることが要求されます。 プレコースは、6週間から10週間と他条件等に応じて選択できます。しかし週単位での分割履修はできないようです。
(詳しくは http://www/eisu.bham.ac.uk/)私の場合、渡英前にUnconditional オファーをいただいておりました。 しかし、アカデミィックライティングに慣れることと、英国の生活に早めになじみたいところもあり、自主的にプレコースに参加しました。 プレコースは充実した内容となっており、経営学で求められるライティング、リサーチの仕方等のノウハウをみっちり6週間受けました。 それらの効果が本コースで発揮されることになります。

MBA本コースは主にコアモジュールで構成された秋期(9月〜12月)、エレクティブモジュールで構成された春期(1月〜3月)、 後期試験等のある夏期(4月〜6月)、卒論期間(6月〜9月)となります。モジュール数は秋期で5つ、春期で5つと合計10です。 試験は1月中旬にコアモジュール分5教科、5 月中旬〜下旬のエレクティブモジュール5教科となっております。
(詳しくはhttp://business.bham.ac.uk/bbs/static /page273.htm)

経営学が初めてだった私は、特に秋期のコアモジュール中、ストラテジー、アカウンティングで苦労しました。 ストラテジーはグループアサインメントと言って、ケーススタディベースのアサイメントをグループワークで書き上げる作業です。 秋期はとにかく怒涛の勢いで授業についていくのもやっと、そしてアサイメント攻勢でチーム内でのストレスも最高潮に達する時期でもあります。 私のチームは中国・中東出身の方が中心で、国際色豊かでした。 文化の違いによってもたらされる様々な問題を個々人のスキルとチーム内での調整でこなしていき、 秋期モジュール後半にはツーカーで意思の疎通が可能なほど打ち解けた雰囲気になっていたことが思い出されます。

スタラテジーのグループアサイメントは4つ(1つ3000文字)ほど、そしてプレゼンテーションが数回、 チーム内で役割を分け作成します。他HRM、マーケティング、ファイナンス、 アカウンティングはそれぞれ(個々人で)3000文字ほどの分量を12月上旬の〆日を目標に10月〜11月より作成開始となります。 12月中旬より1月の試験準備となり、休み期間もなく勉強漬けの毎日でありました。アサイメント及び試験のスコアはかなり厳しく、 数名の落第者が出ております。このような状況は前MBA学生より聞いておりましたので、かなりのプレッシャーとなりました。 特に、1月の試験は皆不規則になります。肌荒れを起こす人もおり、ビタミン剤のお世話に大抵なります。

春期は主にエレクティブモジュールをとります(5教科中1科目のみ必修)。自由選択となりますので、 個々人、将来のキャリアプランや卒論を視野にいれて選択するようです。私はプロジェクトマネージメント及びイノベーション等を取り、 前職(自動車工業系、エンジニア)でのキャリアとの整合性とプラスアルファを狙いました。

本コース10教科は主に国際ビジネス運営で必要なスキルを学ぶよう意図されております。 よって、ファイナンスを主体に学びたい方は別コースの International Banking & Financeをお勧めします。 もちろん、願書提出時(前年1月〜3月)に決めておくことが必要です。
(詳しくは http://www.business.bham.ac,uk/bbs/static/page736.htm)

卒論は指導教官のもと12,000文字の論文を作成します。卒論準備はMBAコースのいわば総括、 学んだモジュール内での得意分野や深堀したいエリアを十分に探求できる期間です。 もちろん、卒論研究テーマは、同時並行で進めている(私の場合)就職活動にも活用できます。 よって、コアモジュール履修後のエレクティブモジュールは卒論&就職活動を視野に入れて選び、卒論は就活でも利用しやすいものを主題とし、 一連の勉強内容と活動に一貫性を持たせるのがベストでしょう。

ヨーロッパのMBAを選んだ理由は何ですか?
また、現在のコースはその目的をどのように満足させていると思いますか?

英国のMBAを選んだ理由は
1)一年間で履修でき、コストパフォーマンスが高い、
2)海外転職へのステップとして英国MBAの有効性、
3)英語母国での英語力強化が挙げられます。

またバーミンガム大学を選んだ理由は
1)学費がリーズナブル、
2)ロンドンへのアクセス(列車で1時間半程、就活に便利)、
3)GMATを必修としない、しかしながら国際ビジネス雑誌のランキングで上位にあったこと、
4)産業革命発祥の地であったことでした

バーミンガムMBAの学生層はアジア人が大勢を占めております。順番として、中国人、タイを始めとした東南アジア系、韓国、日本と言った具合。 アフリカ系、中東の方も大別して2番目に多いと思います。意外と少ないのがヨーロッパ勢、イギリス人は1〜2名のみの参加でありました。 年度によって多少の差異はあるのでしょうけど、学生の混成具合はこういったものです。 前職が主にアジア系(中国、シンガポール、マレーシア等)の同僚も多かったもので、 グループワークでの仕事の進め方など共通点がいくつもあり興味深かったです。 このような経験は、今後ますます拡がる対アジアビジネスで活用できることと期待しております。MBA一年コースに加えて、二年コースもあります。 スコアや職歴の関係で二年かけてじっくり勉強される方もおり、MBAコースとしては若干若めかと。感覚的に26〜8歳が平均年齢と推測します。

バーミンガム中心街は殺伐とした「旧産業地帯」のイメージがありますが、数年前より都市再開発があり、 ずいぶんとシャレタ感じになったものと思います。(詳しくはhttp://www.birmingham.org.uk/

中心街へのアクセスは大学より電車で二駅(10分)又はバスで15分程度です。週末の買い物にも不便なく、 しかしながら遊びすぎない程度の距離間が勉強にも最適かと思います。大学寮は大別して2種類、 大学周辺のメインストリートに近い寮と閑静な住宅街にある寮です。私は後者の寮におり、静かで緑豊かな環境、満足しております。 私の自室(個室、一階)より毎朝リスの朝食風景が観察できます。また野鳥も多いのでバードウォッチングなんぞも出来ます。 寮のハードとしてのクオリティーには?ですが、日常生活の中で文化人類学が学べる良い環境と納得しております(ソフト面では良し)。 人によっては、よりプライベートな生活を望まれ、私営寮に住んでいる方もおります。

今後の目標

今後の目標は、英国、欧州、北米のいずれかの地域で就職することです。 期間は秋より、職種は自動車工業系でマネージメント職またはコンサルティング業。 やはり、会社を辞め、日本のキャリアを一時休止して渡英することはリスクも大きいものでした。 しかし、掛かった時間と費用分の価値は十分にあったものと確信しております。 前職では品質管理に従事し、海外工場の技術者と品質/サービスイシューに取り組み、 国際色豊かなチームの中で業務遂行してまいりました。 MBAで培った知識と経験はそれらビジネスキャリアにプラスされ、 今後国際的に展開する欧米系又は日系企業内で活用していきたいと思っております。結果はこれからです。

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成田 浩之(なりた ひろゆき)さん Birmingham/イギリス2004-2005 在校生

[2006-2007 ALC 特別体験談より]

成田 浩之さん

ヨーロッパのビジネススクールを選んだ理由は?

イギリスのMBAを選んだ理由は、1年間で履修、授業やケース演習を集中して取り組むことができ、 コストパフォーマンスが高く、及び英語母国での英語力強化ができると思ったからです。アメリカのMBAも考慮しましたが、 資金面と準備期間の長さ、そして自分の年齢を見て、社会復帰(キャリア継続)へのブランクとして短い1年コースの方が良いと思い、 イギリスのMBAを選びました。他、コース参加者の国際性、欧州に近いのでケーススタディで欧州ネタが多いこと、 少人数でケース演習ができること等色々あります。現在も当時のMBA同輩との交流があり、それらは財産となっております。

授業はどうでしたか?大変だったことは?

まず、課題概要の説明をします。課題(ケーススタディ)ではグループワークと個人ワークに分かれ、 それぞれ同じ分量の勉強量が必要となります。 グループでも、担当箇所の調査をし、グループワークの総体としてレポートやプレゼンを行います。 問題点としては1年コースと短いので、詰め込みの感があることです。時間的制約が厳しく、十分な討議が出来ないまま、 グループ内での分割作業的になってしまうのも事実、言い換えれば個々人の得意分野や役割がグループ内で自然にでき、 効率性が作業の中で出てきたとも言えます。しかし、これが2年コースであったらどうでしょうか。 もしかしたら、「課題、作業」とは関係のなく、様々な意見を交換でき、 より広い視点でグループワークに取り組むことができたかもしれません。個人ワークも同様に、図書館でのリサーチ、 レポート作成にあたってのプロセスで効率性が要せられました。スキミング等のスキルの向上と情報収集の迅速化が求められ、 関連性の高いものを拾い上げることのみに集中し、広く、違った視点の文献を探す余裕がなかったのも事実です。 対応策として、調査前に課題に対する仮説を組み、その後その仮説をサポートする文献と対抗説を探し、 加えて、賛否両論(Argument)を作りこむといった作業性重視になりました。

授業密度についても同様で、上記コースワークとの絡みで時間がなく、授業に対して毎回予習復習ができず、 その内(特に試験前)はそれなりに出来たチーム(自然発生的)で授業内容のカバー(主に復習)、 そして試験対策をするようになりました。

ポイントとして、英国のMBA(1年コース)は授業や課題の量は2年コースと変わらないため、詰め込みになりがちです。 しかし、チームワークをうまく活用し、チーム内でWin−Winの関係作りをしておけば、自然と日程調整や調査分担ができます。 得意不得意(つまり時間のかかる科目、かからない科目)に係わらず、バランス良く学ぶことが可能となっております。 もちろん出来る方は全て自分で勉強、共有化を一切しない方もおりました。 しかし、ケースバイケースで柔軟にチームを作るということも大事です。 私にとっては、英国でのMBA(1年コース)ではチームワークは不可欠であったと言えます。 もっとも大変だったことはタイムマネージメント(時間管理)でした。

好きな教授や科目は?

私の好きな教授はポールフォレスター氏で、科目はプロジェクトマネージメント(PM)でした。 授業は日程、コスト、品質(パフォーマンス)のバランスを保ちながらプロジェクトをどう進行させるか、 必要リゾースの確保や様々な予想不能な事態への対応策作成の演習と盛りだくさん、非常に実戦的な授業でした。 他、ストラテジー、HRMやマーケティングなど定性的な課題を中心にした科目、ファイナンスやアカウンティング等、 定量的な題材の多い科目もありました。しかし、このPMはそれら両面性を備えた科目で私の相性に合い、 また前職の経験等(品質管理)にも合致・相反した内容でだったため満足しております。過去の品質管理の経験で、 なぜ品質マネージメント(品質重視)とプロジェクトマネージメント(コスト内でのプロジェクト進行を重視)がきっ抗していたのかが分かりました。 特に日本の品質マネージメントは現地現物主義、時間が過かっても、 また係るコストを「品質向上のための投資」と見る向きが非常に強く(←私は美点と思いますが)、 海外工場のプロジェクトチームともめることが多かったのです。結局、それら相反する目的のため、 きっ抗する仕事の進め方が存在していたことが分かりました。自分なりに理解でき満足しております。

ここでのポイントは、職歴のある方は是非、実体験した仕事へのリファレンスとしてコースワークを取り組んでいただきたいという点です。 お仕事との関連性を見出してください。

他国からのMBA留学生の印象は?上手く付き合うこつは?

MBA留学生は総じて英語が上級レベルで会話では殆ど問題ありません(アクセントはお国柄がありますが)。 問題は習慣や文化の違いです。言い方や振る舞い等、各国様々な違いがあり、チーム形成と運営の妨げにもなります。 やはり人の性格はその国々の文化や習慣に強く影響されております。上手につきあうコツは「良く聞くこと」、 「それぞれの個性を尊重すること」、そして「言うべき時はハッキリ、主張すること」です。良く聞き、相手を理解する、 言わば情報収集のプロセスでは「忍耐力」が必要とされます。個性尊重する段階で、 各チームメートの個性の尊重しますので「バランス力」が要せられ、そして最後、「言うべき時は言う」、 リーダーシップを発揮する「勇気」です。上手に付き合うのに必要なことは上記の3つのポイントと思います。

生活面で苦労されたことや、楽しかったことは?

日常で苦労したことは殆どありませんでした。しかし困惑するとは多々ありました。やはり物価が高いことでしょう。 よくマクドナルド指数など怪しげな財務指標がありますが、ロンドンやバーミンガムの都市ではセットメニューで800円から1000円します。 これもポンド高、円安のせいでしょう。しかし、ロンドンのB&Bの例をとっても、 建物等ハード面での品質(きしみや器具の使いにくさ等)やお店でのサービスの品質を見ても、 日本のそれらと明らかに差があり、当初まったく納得できないまま、一年経ち、順応していったことが思い出されます。 (帰国した時、日本のサービスの良さとハード面でのレベルの高さに驚きました)生活面での苦労を一言で言うと「納得できない価格」です。 単に高いと言うだけでなく、カスタマーへの基本的な態度や応対に「ばらつき」が広く、多くの場合は悪いものばかりです。 もちろん、高級デパートのハロッズや高級ホテルでは良いサービスが得られますがその対価は上記の物価ベースでより高いものになります。

楽しかったことは、「緑の豊かな環境で学べたこと」です。英国はそのサービスの悪さ、物価の高さ等いくつか挙げられますが、 英国人の造園やガーデニングへの執着と愛情には敬服します。私の大学のあったバーミンガムでも良く芝を刈る作業員の方や、 緑園を整備する職人さんを見かけました。もちろんそれなりのコストをかけ、市当局が運営しているのでしょうが、 その徹底ぶりには私たち日本人も学ぶところが多いかと思います。特に東京の雑多なビル群、公園の少なさ、 仮に公園があっても砂をひき詰めて整備を楽にしようとする味のなさ等、パブリックスペースに対する考え方が根本的に違うように思います。 今でも、英国の緑豊かな都市と田園を大変懐かしく思っております。

MBA取得後のキャリアは?

MBA取得後の3カ月は現地就職を目指しました。 しかし、諸事情により断念、帰国し、現在欧州系自動制御機器メーカーに勤めております。 幸い(?)組織も新体制でリゾース確保や会社運営の仕組みが未熟なため、経営学を学ぶ上では最適な手本(?)となっています。 会社とはやはり市場に向き合うもので、日々変わる市場へ戦略を策定し、 戦術面で実行可能とするべく人材育成や採用が行われるというのが一般に、「基本的プロセス」となっております。 しかし世の中には、組織形成そのものをワーキングクラスのマネージャーに丸投げし、 戦略や会社としてのテーゼ(コーポレートストラテジー)が定まらないまま、進んでしまうケースもあります。 その修正にミドルマネージャーが取り組み、社内での調整に奔走することがあります(特に外資系ローカルオフィスにて)。 目下、弊社欧州本社の方針、日本市場の特質に合わせた整合化が進んでおります。 しかし、根本的に人間(人的資本)のケーパビリティーの対応が一番遅れるもの、求められるスペックに対して、 対応できる人材採用とトレーニングが間に合わずにおります。原因系としては初期のコーポレートスストラテジーの誤り、 それに伴う時間の浪費、人材確保の遅れが挙げられております。MBAで学んで生きていることは、 少なくとも、組織の問題を認識できること(現状認識)、そして対応プロセスの時間軸がある程度読めるようになることです。 人の巻き込み方「組織運営」に関しては専門分野の違いや入った組織の文化の違いによって様々です。 実際の職場(マネージメント)では、MBAで学んだことに加えて応用力が必要です。

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