Manchester Business School

早坂 昌彦(はやさか まさひこ)さん Manchester/英国2001-2002 MBA在校生

プロフィール[インタビュー実施:8/10/2002]

早坂 昌彦さん

95年4月に通商産業省(現経済産業省)に入省し、6年半勤務
その間、環境リサイクル政策、日本・中国間の繊維貿易交渉、地方自治体における産業振興戦略立案に対するアドバイス(国土交通省へ出向)等を担当
国という巨大組織の一員としてではなく、一人の人間として、新規事業の立ち上げや経営改革に携わることを通じて日本経済の革新に貢献したいと考え、2001年8月に経済産業省を退職し、留学

MBAのコースを受講していて、どんなことを学んでいますか?

まず、経営戦略、ファイナンス、組織論等といった経営者として必要な基礎的フレームワークを習得(なお、始めの秋・冬タームは全員同じ科目を履修しなければならないが、春からは、それぞれの関心分野に沿って科目を選択できるようになる)

? その上で(実際には同時に)、ケーススタディを通じて、様々な情報が入り乱れるなかで、問題の本質を突き詰めていくこと、その上で決断を下すことを学ぶ。ケーススタディに取り組むにあたり大事なことは、@それぞれの情報の軽重を考えること、A答えを「見つける」のではなくて、「生み出す」という意識を持つこと、B答えを生み出す際には、ロジックの一貫性に常に気を配ることかと考えている

? さらに、「多国籍チーム」の中で、短期間に溶け込み結果を出すコツを習得。マンチェスタービジネススクールでは、科目ごとに5〜6人のグループが割り当てられ、そのグループで2週間程度でケースを分析し、その分析結果・対処方針をクラスで発表しなければならない。グループの割り当ての際には国・地域の偏りがないよう配慮がなされるから、基本的に日本人は一人である。私はそのような経験は初めてでもあり、最初は彼らの自己主張の強さに面食らったが、次第に要領を得るようになった。私なりのそのコツとしては、@自分の強みに気づき、それを最大限生かすこと(私は混乱した議論を収拾し、前進させることが得意であることが多い)、A相手の意見を聞きすぎない、自分の意見は堂々と、必要に応じて何回も言うこと、B意見を述べる際には、なぜそう考えたのかという理由について、意識的に長めに(意見の3倍ぐらいでちょうどよい)話すこと、の3点を意識している

ヨーロッパのMBAを選んだ理由は何ですか?
また、現在のコースはその目的をどのように満足させていると思いますか?

ヨーロッパのMBAを選んだ理由は、ほとんどの日本人が米国のMBAを目指しているので、自分は違った方向に行ってやろうと思ったのが出発点である(私はへそ曲がりである)。その上で、前職での経験から、多くの日本企業は、米国型(雇われ経営者が資本の論理で企業をドラスティックに変化させ、従業員もそういうものだと割り切っている)とは異なっており、「改革」と称して米国型をそのままぶつけたら壊れてしまうと感じた。米国型経営のロジックを完璧に消化した上で、さらに一枚上の、日本人の特性に根ざした経営が必要ではないかと思う。そこで、日本と同じように長い歴史・文化が折り重なっているヨーロッパでは、どのように米国型の経営モデルを消化しているのか見てみたいと思った。

マンチェスタービジネススクールの以下の特徴により、私のコースに対する満足度は高い。ただし、単に学校が提供してくれるものを受身で消化しているだけではだめであり、ビジネススクールが提供する機会を自分の将来のキャリアにどのようにプラスにしていくかという観点を忘れないことが大事だと感じている。

コースの一番最初に、「競争よりも協調が最大のパフォーマンスを生み出す」というマンチェスタービジネススクールの哲学を浸透させるための講義・グループワークが行われる。

クラスに占めるイギリス人の割合は25%程度であり国籍の多様性に配慮がなされている。

授業で扱われるケーススタディは、米国企業、英国企業、大陸ヨーロッパの企業、日本等その他地域の企業の題材がバランスよくミックスされている。

2年目の秋タームは、クラスの約4割が、国外のビジネススクールに交換留学に行く。つまり卒業するまでの一時期、イギリス以外のビジネススクールでも学生生活を過ごすことができる。ちなみに私は、フランスのE.M.Lyonというビジネススクールで勉強する機会を得ることができた。

2年目の冬ターム(最終ターム)は、全員が5〜6人のグループごとに分かれ、実際に企業に対しコンサルティングを行い、顧客が満足すれば単位が得られる(つまり卒業できる)ことになっている。したがって、これまで学んできた理論・知識を実践の場に応用する機会がある(その時期の2年生は、顧客に会ったり関連企業へインタビューを行う等のためいつもスーツ姿である)。

今後の目標

「日本経済革新の一翼を担う」という自分なりの大きなテーマに基づき、遅くとも10年後には、何らかの会社の経営チームの一員となっていたいと考えている。したがって卒業後は、新しい環境で結果を出しつつ、経営者として必要な経験・スキルを身に付けて行きたいと考えている

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K.Y.さん Manchester/イギリス2006-2008 在校生

[2007-2008 ALC 特別体験談より]

ヨーロッパのビジネススクールを選んだ理由は?

ヨーロッパと言っても私は英語圏であるイギリスしか興味がありませんでした。いくつか理由がありますが、クラスメイトが非常に多文化多国籍であること、プロジェクトが多かったこと、グループワークが多かったこと、クラスサイズが小さめであること、などです。クラスサイズは90名弱であるにもかかわらず30 カ国以上の国から集まっており、多国籍多文化特有とも言える様々なモノの見方や考え方が学べます。また、卒業直前には3カ月間フルタイムで行うIBプロジェクトがあり、実際の企業をクライアントにビジネスリサーチプロジェクトを行えることも学校を選ぶ際の決め手になりました。また、一般的な学習スタイルとしてグループワークを非常に重視する学校を選んだのは、コミュニケーション能力を高めたかったからです。そしてクラスサイズですが100名以下の場合、何かイベントをやるにも分割することなく一体となって行えるので、クラスメイト全員の顔と名前を覚えられるちょうどよいサイズだと考えました。

授業はどうでしたか?大変だったことは?

私が通っているマンチェスタービジネススクールの場合、18カ月のプログラムですのでアメリカ型とヨーロッパ型の中間ということになるかと思います。前半9カ月をDiplomaステージ、後半9カ月をMBAステージと呼んでいますが、前半と後半で雰囲気はかなり異なります。前半9カ月は全て必修科目なのですが、とにかくグループワークが多いため、授業のある日もない日もとにかくミーティングが多かったです。科目ごとに所属するグループが異なるのですが、特に2学期目は、8つくらいのグループに属して勉強しました。授業でのレポートやプレゼンに加えて、実際の企業をクライアントとしたマーケティングプロジェクトなどかなりボリュームがあったのは事実です。テキストやケースの予習も大変でしたが最も大変だったのは、カルチャーの異なる多国籍なメンバーでのグループでいかに効率的に作業を進めていくか、という点だと思います。

好きな教授や科目は?

全てのプログラムを終えた後にこの原稿を書いたのであれば、約3カ月間にわたるIBプロジェクトになるかもしれません。しかし、これを書いている現時点であれば、ディプロマステージの最後に受けたManaging Internationally across Business Systems (MIBS)という科目です。一言で内容を説明するのは難しいのですが、普段漠然と感じていた、アジアと欧米のカルチャーやシステムの違いなどを、理論的なフレームワークに基づいて、クリアーに理解することができました。例えば、金融システムという観点で言えばイギリス、アメリカを中心とした市場型金融システムとドイツ、日本を中心とした銀行型金融システムといった具合に大まかには分類することができます。グローバル化という名の下に、アメリカ至上主義的な流れがある中で、アメリカが必ずしもよりベターなのではなく、それぞれに一長一短な異なった複数のシステムがあることを認識することができました。他にも、会社と労働組合の関係、サプライヤーとの関係、国際展開する際の方法の違い(マルチナショナル、インターナショナル、グローバル、トランスナショナルの違い)など様々な観点で学ぶことができました。MBAステージに入ってからも、様々な文献を読むにつれて徐々に理解が進み、かなり重要な科目だったんだと認識しています。

他国からのMBA留学生の印象は?上手く付き合うこつは?

他国と言っても30カ国以上の国から来ているので一概には言えませんが、いろいろな面でギャップを感じました。非常に合理的な考え方や時間に対する意識の違いなどいろいろと学びました。例えば、成績評価は10%のプレゼンが3回と70%相当の試験が1回などとウエイトが決められているのですが、「この課題は10%だからこれ以上時間をかける必要はないと思う。もうこれで切り上げよう」といった形で非常に合理的な提案をされることもありました。また、地域によっては時間に対する感覚がまるで異なります。あるクラスメイトがミーティングに30分近く遅れてきたので、文句をハッキリと言ったことがあるのですが、彼の出身国では「30分までなら誰も文句を言う人はいない。そんなことで文句を言われても困る」と言われてしまいました。このようにカルチャーの相違を痛烈に実感しました。

上手につきあうコツは、異文化ということを強く意識し、何でもできるだけ明確にしておくことでしょう。シングルカルチャーの世界のように、暗黙の了解という状態にはならないので、ミーティングは議事録を残してシェアする、アウトプットの仕様を明確に定める、など「わかってくれるだろう」とは考えず、お互いが納得できる形で明確にしておくことがトラブルを避けるコツかと思います。

生活面で苦労されたことや、楽しかったことは?

まず苦労したのは、日本の常識が全く通用しないということです。日本と同程度のサービス水準を期待してしまうとかなり疲れてしまうので、すべてはダメもとで考えるのがよいかと思います。例えば、電話開通まで1カ月、インターネット接続までさらに1カ月ほど要しました。そして、事前に指定してきた工事の日程どおりに全く工事が行われない、ということもしばしばでした。楽しかったのは、まずはクラスメイトとの様々な文化的交流です。クリスマスパーティー、インドの新年を祝うパーティー、アジアの料理を楽しむパーティーなどに加えて、比較的少人数(10人前後)での料理の持ち寄るパーティーなどは日本ではなかなか味わえないものだと思います。それに加えて、マンチェスターならではということで言えば、サッカープレミアリーグのマンチェスターユナイテッド、マンチェスターシティの2チームのホームであることから、それほどサッカー好きというわけではなかったのですが、何度か足を運びました。やはりスタジアムで見るのは迫力が違い、初心者でもかなり楽しむことができました。

MBA取得後のキャリアは?

まずMBAプログラム参加してみて一つ感じたことは、参加前に有用だと考えていたストラテジー、マーケティング、ファイナンスなどのテーマよりも、ソフトスキル的な側面の方が仕事に戻った際に役立つのではないか、ということです。つまり、いかにしてチームを作っていくか、自分及び他のメンバーのモチベーションを高めるにはどうしたらよいのか、多国籍な環境下で働く際には何に気をつければよいのか、などです。MBAの期間中同様、職場に戻っても常に試行錯誤しながらやっていくとは思うのですが、MBA前の自分は自分の業務をこなすことで精一杯で、チーム全体といった観点をほとんど持っていなかったと思います。上記に挙げた科目は、もちろん基礎を習得していることは重要ですが、やはりそれぞれの専門家にはかなわないわけで、専門家とコミュニケーションできるリテラシーを一度身に付けてしまえば、後はやはりマネジメントや従業員、お客様といった人々とどのように向き合っていくか、が大切だと思います。そのような意識を持てるようになったことがMBAの大きな収穫だったのではないでしょうか。私は企業派遣ですので、会社に戻りますが、これはどのような仕事に就いても役に立つことだと思います。

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