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 渡邊 裕一 (わたなべ ゆういち) さん  Ashridge/英国  2001-02年 MBA在校生
 

| Written 13/11/2002 |

 PROFILE :

90年 一橋大学 法学部卒業

90年 三菱商事株式会社  Logistics、新規事業開発等
98年 日本ヒルティ株式会社
Distribution/ National Repair Manager、Logistics Manager
00年 ファーストリティリング株式会社 海外進出準備室リーダー、
Fast Retailing (UK) Ltd Logistics & IT Director
01年 Ashridge EMBAへ入学 12月終了予定

   

Ashridgeについて

 

Ashridgeという教育機関は、英国でも特殊なステータスを持った存在と言えるでしょう。元々の発想は第二次世界大戦後、シェルやユニリーバといった英国を代表する企業のトップ達が、当時不足していた上級管理職を育成する期間の必要性を訴えていた事から始まっています。その発想を元にして1958年に財団法人として設立されたAshridgeは、1954年の英国国会決議、「Ashridge Trust Act」に拠るという極めて風変わりな成り立ちを持っています。そのため設立時の趣旨も以下の様に多分に英国主義的なものです。 国家及びコモンウェルスの利益の為の教育を続ける事

世界中の大学や類似教育機関の設立に寄与する事

Ashridge を国益の為に保護する事

こうした設立の趣旨から、Ashridgeは非常に高いレベルの教育機関でありながら、長く英国人、しかも上級管理職のみを対象とするといういわば「秘密クラブ」的な存在でした。このクラブの転機は1982年に訪れます。法改正により外国人への門戸が開放されたのです。この事がきっかけとなり、1988年にエグゼクティブ MBA プログラムが開講されました。これが現在のAshridge EMBAです。

以上の様な生い立ちから、Ashridgeは学生の割合が英国人58%、ヨーロッパ出身者90%と偏っており、海外、特にヨーロッパ以外では殆ど知られていないばかりか、英国でも極めて一部の層にしか知名度がありません。ところが一方でAshridge は英国企業の上層部の方々には大変有名で、超一流の教育機関として現在でも不動の地位を保っているという、どうにも説明しにくい特殊なステータスを持っているのです。

AshridgeにはEMBAの他に、Organisation Consultingの修士 (Master) 、General Managementのデイプロマ、開放講座、及び企業オーダーメード研修があり、英国、ドイツを中心に欧州の大手企業の管理職研修コースが随時開かれていて、常に実際のビジネスとの接点を保ちながら最新の経営理論を教えると言う、実学重視の校風となっています。

 

プログラムの内容

 

AshridgeのEMBAプログラムでMBAを取得する為にはプロジェクトワーク、レポート(平均3000 Words x 12本)、各種マネージメント実技及び最終試験に全て合格しなければなりません。1年間コースの場合はこれら全てを1年間でこなす事になるため、大変シビアな内容となっています。

プロジェクトは学生一人ひとりが外部企業のプロジェクトの為にコンサルタントとして実際に働き、その成果を論文(10000Words ?15000Words)としてCollegeと企業の双方に提出するというものです。このプロジェクトワークは実際に多少の報酬を伴うため、受け入れ先企業も理論一辺倒でない現実的な提案を期待し、働く学生本人もそれに応えるべくCollegeで学んだ最新の経営理論を実地に役立てようとする大変シビアなものです。プロジェクト先企業が決まるとAshridgeから学生一人ひとりにスーパーバイザーが割り当てられ、平均で7-8ヶ月に及ぶ長いプロジェクトの良き相談相手となってくれます。 学科は全部で6科目あります。Strategic Management、Marketing、Finance、Operations Management、Human Resource/Organisational Behaviour、Information Systems & Decision Scienceです。講義は1年間で16週間しかありません(4週間 x 4 モジュール)が、講義のない期間の方がはるかに忙しく、レポートやプロジェクトワークに追われる事になります。レポートは各科目について2本ずつ計12本書くことになりますが、前半の6本が各科目とも講義内容と出版物等の外部データのみの情報収集で良いのに対し、後半の6本はプロジェクト先の内部データも併せて収集し、各科目のテーマに沿った企業への実際的な提案を求められる点、非常に高い難度だと言えるでしょう。各レポートの分量の多さは英語ネイティブ達にとっても相当ハードなものである事もあり、日本人がついて行くには相当の覚悟が必要となります。

マネージメント実技はプロジェクトと並んでAshridgeを特徴付けるものですが、大きく分けて5種類あります。Media Handling、Team working、Visioning、 Empathising、 Coachingです。

Media Handlingは新聞、テレビ、ラジオ、雑誌等の媒体に対して企業を代表する立場としてどのように対処するかというものです。本物のBBCのクルーに囲まれ、現役のTV・ラジオキャスターからインタビュー、記者会見を受けるという経験はなかなか普通ではできないことです。

その他の実技は、企業のマネージメントとして周囲とどのように協力して行くかや、どのようにコミュニケーションをとって行くかといったロールプレーです。非英語圏かつ非欧米の参加者である日本人としては大変ハードである半面、マネージメントスタイルの違いを学べ、かつ英会話の上達にも繋がるのという事で他の参加者が受ける何倍もの価値があるのではないでしょうか。

最終試験は10月半ばに行われます。講義が9月迄で終了するので、それまでのアカデミックな理解度を問われます。1科目につき3時間で、1日1科目の試験が1週間ほど続きます。試験が終了すれば後はレポートの残りとプロジェクトのみという事になります。

 

ヨーロッパのMBAを選んだきっかけは何ですか?

 

きっかけは前職での英国赴任でした。当初は働きながら通うつもりでAshridgeのパートタイムコース(2年間)に申し込んでいたのですが、業務の都合で急遽帰国する事になってしまいました。会社には休職制度もなかった為、やむを得ず退職をして折角のチャンスを生かす事にしました。

 

特にAshridgeを選んだ理由は?

 

主に3つの理由があります。

1.?ロンドンからの距離
当初働きながらパートタイムに通う予定だったので、どうしてもロンドンから通える場所である必要がありました。AshridgeのあるBerkhamstedはEuston駅からBritish Railで30分強と近く、電車の本数も多いので便利だった訳です

2.?人員構成
EMBAであるため参加者の平均年齢が30台半ばで、かつ5年以上のマネージメント経験者のみによる少人数制というのがポイントでした。私も入学時36歳でしたし、他の参加者とこれまでのキャリアで得た経験を共有できるのが大きな魅力でした。

3.?年間プロジェクト
これは大学選びにも言える事だったのですが、私自身あまりアカデミックな人間ではない為、理論一辺倒でない実学的な教育に魅力を感じました。校風とともに年間プロジェクトはその最たるものだった訳です。

 

コースを振り返って

 

少人数という点で、殆どのクラスメートとかなり深い付き合いができたのではないかと思います。プロジェクトや実技研修等、恐らくここへ来なければできなかった多くの経験ができた点は非常に有意義でした。

言葉や習慣の点では大変苦労しました。今年のクラスは始まった当初39名だったのですが、そのうち英語圏の人間が31名、それにヨーロッパ圏を加えると34名でした。私を含めわずか5名が全く違った文化、言語圏から来たのですが、そのうち2名は途中で辞めてしまいましたので、結局残ったのは3名でした。英国人というのは言葉や文化が違う人々に対して表面的にはともかく、実際には殆ど心を開きませんし、言葉の面でも一切容赦せず、教官も含め相手に合わせてゆっくり喋るという事はありません。悪気はないのですが、そういう習慣なので、少数派の小生にとっては時に孤独を感じる事もありました。こういう中で1年間歯を食いしばって乗り越えた事が、自分にとって大きな自信になっていると思いますし、英語力という点でも相当力がついたのではないかと思います。

 

今後の目標

 

私がこのMBAで達成したかったのは、これまでの職選びと同様に、どのような文化・言語・習慣のスタッフと一緒でも臆する事無く力を発揮できる、インターナショナルに通用するマネージャーとして自らを育て上げる事でした。まだ道半ばですが、一歩一歩着実に前進できているのではないかと思います。この時点ではまだ進路は決まっていませんが、今後は更に経験を積みながら引き続きグローバルなビジネスで力をつけて行きたいと思います。

 
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